■スピード [1994 アメリカ] ☆☆☆
みなさんも一度は見た事があると思う、キアヌ・リーブスと、サンドラ・ブロックの出世作だ。
この映画、どうということは無いストーリーなのに、すごく"スピード"感があって、ハラハラドキドキ、最後の最後まで楽しめる超一級のアクション映画となっている。
なぜだろうか?
続編の「スピード2」は、それほど面白くなかった。
監督のヤン・デボンも、その後それほど面白い映画は撮れていない。
監督の能力でこの映画が面白かったわけではないのである。
実は、「スピード」が面白いのには、ある秘密がある。
わたしは昔、訳あってこの映画のある面について少し分析した事がある。
その結果、この映画がスピード感があってハラハラドキドキする理由は、完全に解明された。
「スピード」には、他の映画にはない大きな特徴があったのである。
それは、
「スピード」は、3〜5分間隔で緩急を繰り返している映画
ということだ。
映画の最初、タイトルロゴから始め、何分何秒に何が起こったのか?
をすべて記録していくと、次のことが明らかになる。
ハッとする強いプロット(出来事)と、ほっとする緩めるプロットとが、
必ず3〜5分間隔で繰り返されている
のである。
(最初だけでもいいから、ぜひ興味のある人は確認してみてほしい。)
短いときは2分50秒程度、長いときでも6分程度で、強いプロットが来る。
(その間に必ず弱いプロットを一つ挟む。)
必ずこの間隔で、観客をホッとさせたり、ドキドキさせたりを繰り返しているのだ。
これは心理学的に、とても正しい手法である。
強い刺激ばかり与えると、人はマヒしてしまう。
強い刺激の後には弱い刺激でホッとさせ、また強い刺激を与える事で、
観客は休む間も無く映画に引き込まれていき、心臓の鼓動が止まらなくなるのだ。
通常、映画の製作では、これほど極端な構成はとらない。
全体のシナリオとして、大まかな緩急の山(30分ごと、10〜15分ごと程度)は決めるが、5分未満の構成については、話の流れによるのが通常である。
逆にこの映画は、逆に大まかな構成の山があまり無く、3〜5分おきの強弱の構成のみがあるような映画なのである。
そしてこれは、監督一人で作り上げられるものではない。
ヤン・デボン監督がその後凡庸であることからも、それは明らかだ
。
シナリオ上に、強弱のエピソードを繰り返し盛り込んでおき、そしてそれを編集で忠実にかつ強調した形で何度もなかば機械的に繰り返す。
ここは、編集のジョン・ライトに原因の多くを求めた方が良いのだろう
。
ジョン・ライトといえば、「レッド・オクトーバーを追え」「ダイ・ハード3」の編集者だ。
これらの作品でも、確かに編集の妙によって緊張感等が生まれ、映画の質に貢献している。
「ダイ・ハード2」がパットしなかった中、3は結構面白かったと憶えている人も多いのではないだろうか。
編集というのは、ヴィトゲンシュタインを持ち出すまでもなく、映画にとってかなり重要な要素なのである。
(しかしその後の作品では「スピード」と同じ手法は使ってはいないようだ。
これは、作品のコンセプトによるものだろう。「スピード」同じようにスピード感だけを求める映画では、また使用してくる可能性が高いと考える。)
以上のように、この映画では5分以内の短い間隔での緩急の繰り返しが、ハラハラドキドキ感を生み、この映画を面白い!と言わせる最大の原因となっているのだ。
こういった手法は、もっと映画技術的なスタンダードとして認知させ、他でも応用して、どんどん面白い作品を製作していってもらいたいものである。
『3〜5分間隔の緩急。これこそが“スピード”。』
【星の説明】
☆☆ 以上なら見ても損は無いでしょう。
☆☆☆☆☆☆ |
神!! |
☆☆☆☆☆ |
UNBELIEVABLE!! ベスト映画! |
☆☆☆☆ |
素晴らしい!ぜひ皆に勧めよう |
☆☆☆ |
面白い。見ましょう。 |
☆☆ |
なかなか面白い。 |
☆ |
見たければ見れば? |
- |
どーでもいい。 |
× |
見るだけ時間の無駄。クソ映画。 |
×× |
超クソ映画。 |
××× |
ふざけんな!作った奴誰だ! |
×××× |
お前に映画を作る権利はない。 |
××××× |
もはや言葉にできない。 |
×××××× |
悪魔!! |
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