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映画分析
第20回 『シン・ゴジラ』


■シン・ゴジラ  ☆☆☆




なかなか面白かった!
邦画で、白星☆が3つ付くのは初めて?ではないだろうか。

結論から言うと、

   実写版ヤシマ作戦(笑)

である。この一言に尽きる。

とにかく、庵野秀明のカット割りが素晴らしい。
ヱヴァンゲリヲンのそのカット割りと、まったくというかほぼ同じなのであるが
それを実写版で完全に再現しており、エヴァの躍動感や緊張感、テンポの良さ、
間の取り方なども再現して、実写映画としても高い効果を上げている。
アニメでも実写でもこの手法が有効であることを証明したのだ。
(これらの手法の遠いルーツは、言わずと知れた市川崑であるのだが(笑))

単調な政治的な会議シーンばかりであっても、カット割次第でアグレッシブに、
緊張感を持って、観客を飽きさせないことができるということを、
邦画関係者はこの作品を1万回見て学ぶべきだろう。

冒頭に書いたとおり、まんま「実写版ヤシマ作戦」というだけの映画なのだが、
前述の庵野の画づくりによって、まったく飽きさせない一級品のエンターテインメント
に仕上がっている。
ここ数年の邦画としては、出色の出来と言って良いだろう。
カット割りは、完全に庵野アニメのそれであり、「画面制作」というエンドロールに、
「魔砂雪」などのアニメの原画マン?がクリジットとされていることからも、
それは裏付けされる。

逆に、庵野のカット割りが素晴らしいがタメに、CGがかなりしょぼく
見えてしまっているという現象すら発生している。

冒頭のしっぽのCGは、マッチムーブが一部ズレているし、
序盤のポートのCGや後半の列車のCGは、ライティングに難がある。
特技監督?の樋口は、他の映画でもそうだが、本当に無能だねえ。(笑)

繰り返しになるが、とにかく庵野の「カット割り」「画作り」は素晴らしいが、
例えば、役者の演技などは最低である。
細かい庵野のカット割りに助けられているが、みんな凡庸でテレビレベルの
演技でしか無い。
これは、役者を動かす監督能力の問題ではあるのだが、、、、

SEはまあまあ。
音楽はひどい。(笑)

画づくりに特化して言うと、肩に担いだ位置に安易にカメラ位置を設定しない、
という散々ココで口酸っぱく言っていることを庵野は易々とクリアし居るし、
(それは、私が良く言うビーチクあたりにカメラを据える、という以外の手法でだ。)
2人での会話では、必ず相手の前ボケを入れているし(基本中の基本)、
何気ない例えば冒頭のペンを机に広げるだけのようなカットでも、
ガラス板の上にペンを広げて、それを下から透過で撮るなど、工夫が凝らされている。

しかし、その庵野秀明にしても、あえてダメ出しすると、

・音楽は、菅野よう子レベルに委託すべき。
 エヴァと同じ音楽を流用なんか、ありえないでしょ。
 ゴジラのテーマフレーズを使って、彼女なら素晴らしい音楽を作ったはずだ。
・実写映画としての「ダイナミックな」カット割り、シーン構成をもう少し勉強しましょうね。
 ダイナミックさが足りません。
 序盤のカメラが動きながらの下から見上げたゴジラのカットは良いが、
 そのような「考えた魅せ方」をしているカットが、他に皆無だ。
・カメラを動かしながらの画づくりが出来ていません。
 すべて止め絵になっています。もっと勉強しましょう。
・生身の役者をコントロールする技術を磨きましょう。
 アニメと違って、あなたの意図通りに人間は動きません。
 生身の人間をあなたの意図通りに動かす術を身につけましょう。
 そうしないと実写映画監督としての成功はあり得ません。
・画の構成やセンスが、最近ワンバターン化して、エヴァから成長してません。 新しい技法や画作りを開発しましょうね。

と言った感じだろうか。

これらを克服したとき、庵野秀明は、世界的な監督として名を馳せることに
なると思う。

「シン・ゴジラ」は、世界に出して恥ずかしくない、
一級品の日本独自色のエンターテインメントである。

  『 好きなように、やりましょう。』


【星の説明】 ☆☆ 以上なら見ても損は無いでしょう。
☆☆☆☆☆☆ 神!!
☆☆☆☆☆ UNBELIEVABLE!! ベスト映画!
☆☆☆☆ 素晴らしい!ぜひ皆に勧めよう
☆☆☆ 面白い。見ましょう。
☆☆ なかなか面白い。
見たければ見れば?
- どーでもいい。
× 見るだけ時間の無駄。クソ映画。
×× 超クソ映画。
××× ふざけんな!作った奴誰だ!
×××× お前に映画を作る権利はない。
××××× もはや言葉にできない。
×××××× 悪魔!!

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