ファーストカットから、観客を惹きつけてぐいぐい映画の中に巻き込んでいく手法は、
もう、さすがの一言。
なんでまあ、スピルバーグの“画”は、大したことない絵なのに、こうも惹きつけられるのだろうか?
一つは、絵としての美しさではなく、スピルバーグの場合は、
余分な物を排して、主題だけをクローズアップする
という手法が、とてもうまく、かつわかりやすいせいなのだと思う。
この映画でも、画自体は、アップだったり、引きだったりといろいろあるが、
すべてのカットの「役割」が明確で、それによって画が物語をジャマせず、
すんなりと登場人部の行動やストーリーにのめり込めるようになっているのである。
ビジュアル的な美しさや目新しさに気を取られがちな現代人(私もそうだが)は、
この監督の画には逆にもっと注目した方が良いのではないかと思う。
そして、そのクローズアップされた物語の根幹を支えるのが、しっかりと練り込まれた
シナリオでアリ、凡庸な画の中でよりクローズアップされる役者達の演技なのである。
この映画でも、トム・ハンクスを筆頭にして、味のあるオッサン達がいろいろと
味のある人物像やストーリーを創り上げており、これらを見るのは時間を忘れて楽しめる映画の醍醐味である。
2時間半という長い尺の割にも、あまり長さを感じなかったのは、
ここらへんのスピルバーグの旨さなんだと思う。
また、この人は本当に
隠すのがウマイ監督
であり、細かいプロットにしても、そのカットの中での主題をうまく、カットの後半まで「隠す」構成を取っており、
それによってもカットの後半まで観客がダレずに興味を保ちながら見続けることが出来るのである。
そしてこれらが連続的に続くことによって、映画は短調でダレたりすることなく、
155分の長さを一気に駆け抜けることが出来るのだ。
スピルバーグの映画が「ダレない」ということに関してはこの通りなのだが、
この映画は、スピルバーグにしてはちょっと、大人しすぎたかもしれない。
ダレてはいないのだが、さすがに話が単調すぎるのではないだろうか。
史実に基づくと言っても、もう少しドラマチックな展開や、アクション、カット割りなどで、
サスペンスを演出する必要はあったのではないだろうか。
イーストウッドの「アメリカン・スナイパー」の方が、よほどメリハリがあってエンターテインメント性が高い。
みんな、年寄りになると、どうしてもこうなっちゃっうのかな?
毒気の抜けたドクター・ペッパーのような感じの映画である。
シナリオや、役者の演技はハイレベルであるが、如何せん淡々としすぎかもしれない。
尺も、スピルバーグだから誰も切れないんだろうけども、ヒコーキ坊やと「パパってすごい!」のあたりをカットして、
120分に収めるべきであっただろう。
この尺では、DVDになったときに、誰も見返そうとはしないだろう。
全体として、悪くはないが、特筆すべき所もあまりない、という映画である。
『みんな、やさしいねえ。』
☆☆☆☆☆☆ | 神!! |
☆☆☆☆☆ | UNBELIEVABLE!! ベスト映画! |
☆☆☆☆ | 素晴らしい!ぜひ皆に勧めよう |
☆☆☆ | 面白い。見ましょう。 |
☆☆ | なかなか面白い。 |
☆ | 見たければ見れば? |
- | どーでもいい。 |
× | 見るだけ時間の無駄。クソ映画。 |
×× | 超クソ映画。 |
××× | ふざけんな!作った奴誰だ! |
×××× | お前に映画を作る権利はない。 |
××××× | もはや言葉にできない。 |
×××××× | 悪魔!! |